伽藍建築と黄檗文化
黄檗山の建造物は正面一間を吹放しとした主要伽藍を中心軸上に置き、同じ大きさの諸堂が左右対称に配されている、中国の明朝様式【伽藍配置】となっています。
「卍字くずし」のデザインによる勾欄(こうらん)、アーチ形の「黄檗天井」、円形の窓、扉に彫られた「桃符(とうふ)」と呼ばれる桃の実形の飾りなど、日本の他の寺院ではあまり見かけることのないデザインや技法が多用されています。このように創建当初の姿のままを今日に伝える寺院は、日本では他に例が無く、代表的禅宗伽藍建築群として、主要建物23棟、回廊、額、聯などが国の重要文化財に指定されています。
建築物・美術・印刷以外にも、隠元豆(いんげんまめ)・西瓜(すいか)・蓮根(れんこん)・孟宗竹(たけのこ)・木魚なども隠元禅師から日本にもたらされたものであり、当時江戸時代の文化全般に影響を与えたといわれています。
中でも中国風精進料理である「普茶料理」は日本の精進料理(禅僧が日常食する質素な食事)とイメージが異なっています。見た目も美しく盛りつけられる料理の数々は、高タンパク・低カロリーで栄養面にも優れ、席を共にする人たちと楽しく感謝して料理を頂く事に普茶料理の意味が込められています。